関西縄文カフェ・ブログ

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2021年度人文研 考古学と歴史学チーム

11/14 13;00-17:30 web公開研究会

参加希望者は、小林にメールください。Webexのリンクを送ります。

申込先(小林):kobayashikenichi22@gmail.com

 

「挑戦的研究(萌芽)・高精度年代測定法の開発と適用可能な考古・歴史資料の拡大」

成果報告会

 

13:00-13:40 小林謙一:主旨説明および縄紋時代の年代高精度化の現状と課題 

13:40-14:20 箱﨑真隆:縄文時代の高精度年代法の課題と解決に向けた展望

14:20-15:00 工藤雄一郎:九州北部における縄文時代草創期土器群の年代について

-15:10 休憩

15:10-15:50 宮田佳樹:縄文土器の残存脂質分析

15:50-16:30 遠部慎(人文研客員研究員):地蔵ヶ淵洞穴の再検討

16:30-17:10 畑山智史(人文研客員研究員):貝製品に対する貝殻成長線分析の取り組み17:10-17:30 質疑・まとめ(小林)

 

小林謙一(中央大)

演題:主旨説明および縄紋時代の年代高精度化の現状と課題

概要:縄紋時代の高精度年代体系化について、炭素14年代測定を中心に現状を述べ、今後の課題と分析法・対象試料の拡大と運用について議論したい。

 

箱﨑真隆(国立歴史民俗博物館

演題;縄文時代の高精度年代法の課題と解決に向けた展望

概要:酸素同位体比年輪年代法の標準年輪曲線は5100年前に到達し、縄文時代中期まで誤差のない暦年代決定を実現している。今回はこれをさらに過去へと延伸するために必要な分析の見通しや、従来よりも少ない年輪数の試料にも暦年代を与えるための新しい標準年輪曲線の構築計画について発表する。

 

工藤雄一郎(学習院女子大)

演題:九州北部における縄文時代草創期土器群の年代について

概要:長崎県佐世保市泉福寺洞窟は,同市に所在する福井洞窟と並び,縄文時代草創期の土器編年とその年代を知るうえで極めて重要な遺跡である。筆者ら(工藤雄一郎・柳田裕三・米田穣)は泉福寺洞窟の発掘調査時に採取された炭化材の放射性炭素年代測定を新たに実施した。今回は,福井洞窟の史跡整備に伴う発掘調査の際に測定された放射性炭素年代と比較しながら,北部九州における縄文時代の始まりの年代について検討を行う。

 

宮田佳樹(東京大学総合研究博物館

演題:縄文土器の脂質分析とその解釈

概要:縄文土器に残存する脂質を抽出、分子組成を同定し、調理した食材を推定するバイオマーカー解析と抽出した脂質の主成分であるパルミチン酸・ステアリン酸の分子レベル炭素同位体組成を測定し、現生生物のそれと比較することにより、調理した食材を生物グループレベルで推定する同位体的手法を併用して、土器で煮炊きした食材を推定し、当時の食生活の復元を試みた。

 

遠部慎(人文研客員研究員・久万高原町教委)

演題:地蔵ヶ淵洞穴の再検討

概要:1975年に発見された岡山県真庭市地蔵ヶ淵洞穴はこれまで研究者の間でもほとんど知られていない洞穴遺跡である。本研究では、地蔵ヶ淵洞穴の再整理を行い、あわせて自然遺物について14C年代測定を実施し、これまで一括してとらえられてきた資料群を少なくとも4つの年代にわかれることを明らかにした。また、あわせて遺物との関係を整理し、本洞穴の利用時期を推定した。

 

畑山智史(人文研客員研究員・飛ノ台遺跡博物館)

演題:貝製品に対する貝殻成長線分析の取り組み

概要:これまでに貝殻成長線分析では資料として積極的に取り上げられていなかった貝輪に着目し、この材となるカキ類(マガキ)、タマキガイ類、カサガイ類を資料として、成長線に関する基礎研究を実施した。その結果、これらの種における貝殻切断面の成長線(成長帯)は、観察することが可能であった。しかしながら、この成長線(成長帯)が日周期なのか、潮汐周期なのか、明らかにすることが今後の課題である。